問1 裁判員制度に関する次の記述のうち,妥当でないものはどれか。
裁判員制とは,殺人などの重大な刑事裁判に限って,有権者名簿から無作為に選ばれた一般市民が裁判員として裁判に直接参加する仕組み。
裁判員は職業裁判官と一緒に,同等の権限を持って,事実認定,有罪か無罪かの評決,量刑,判決まで全面的に関与する。
陪審制とは,国民の司法参加の一形態で,市民から選ばれた参審員が職業裁判官と一緒に議論し,有罪・無罪や量刑を決定する制度
国民の司法参加には,陪審制,参審制,専門参審制などの形態がある。
司法制度改革推進計画によれば,裁判員制度の関連法案は,2004年1月から始まる通常国会に提出される予定という。
問2 次は,緊急逮捕に関する記述であるが,誤りはどれか。
緊急逮捕の対象となる犯罪は,死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪に限られているが,これは,法定刑を基準に判断する。
緊急逮捕した被疑者を司法警察員に引致したところ,司法警察員が留置の必要なしと判断して被疑者を釈放した場合であっても,直ちに逮捕状の請求手続を行わなければならない。
緊急逮捕したときは,直ちに逮捕状を請求しなければならないが,文字通り「直ちに」逮捕状を請求することは不可能であるから,最小限度の疎明資料の作成に必要な時間内に逮捕状を請求すれば足りる。
緊急逮捕は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」が存在する場合に限り許されるが,これは,公訴提起に必要なまでの高度の嫌疑を要求するものではない。
緊急逮捕後,逮捕状が発付された場合には,逮捕状発付の時刻から48時間以内に被疑者を検察官へ送致しなければならない。
問3 地域社会,地方公共団体,関係機関等と連携し,社会の犯罪抑止機能の強化,すなわち「犯罪に強い社会」を目指していくに当たって推進すべき事項のうち,誤っているのはどれか。
犯罪抑止のための犯罪情勢の分析,情報提供の推進のため,警察庁に「犯罪抑止対策室」(仮称)を設けるとともに,地理情報等を用いた犯罪情勢の分析やインターネットホームページ等を通じた国民への犯罪情報の提供を推進する。
交番勤務員の増員及び交番の配置見直しを行うことにより,交番勤務員の不在が常態化している「空き交番」の解消を目指すとともに,あわせて交番相談員や警ら用無線自動車の活用により,交番に対する支援機能を充実させ,交番機能の強化を図る。
犯罪の多発時間帯,多発地域における執行力を強化し,地域警察官の街頭における職務質問による検挙その他の取締り活動を一層推進する。この場合において,軽犯罪法や条例違反等の違反行為に対する適切な指導取締り,「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」に基づき,適正かつ効果的な取締りを進める
街頭犯罪多発地域等を中心に防犯カメラの更なる整備を推進し,国民の安心感を高める。また,防犯性能の高い建物部品目録の普及を促進する。
地方公共団体との連携を強化するとともに,自主防犯行動を促進するため,防犯活動に従事するボランティアや防犯設備士との連携・協力態勢の構築等を図る。
問4 次は,来日外国人犯罪の取扱いについて述べたが,妥当なのはどれか。
逮捕した外国人被疑者が特殊な外国語しか話せず,通訳人を確保するために相当の時間を要する場合は,被疑者に対し,犯罪事実の要旨や弁護人を選任することができる旨等を告げても無意味であるので,適切な通訳人を確保した段階でそれらを告知し弁解録取書を作成すれば足りる。
外国人被疑者を逮捕した後,直ちに釈放した場合であっても,領事機関へ通報しなければならない。
警察署の留置場に収容されている外国人には接見等を禁止する裁判の効力が領事官に及ばないので,外国人被疑者に接見禁止がなされているときでも,領事官は,弁護人と同様,立会人なしに当該外国人被疑者と接見ができる。
外国人被疑者に署名させる場合は,その国の文字で署名させ,また外国人被疑者が日本名と外国名の両方有している場合には,そのいずれも署名させ,また押印又は指印は,できる限り,署名と併せてさせるようにするが,指印等がなくても差し支えない。
外国人被疑者の供述調書は,当該被疑者の母国語ではなく日本語で作成するが,作成した調書にはその要旨の翻訳文を添付しなければならない。
問5 次は,交通反則通告制度における告知を行わない特例に関する記述であるが,誤りはどれか。
違反者の居所又は氏名が明らかでないとき。
違反者が違反事実を否認するとき。
違反者が逃走するおそれがあるとき。
違反者の居所が不明のため告知することができなかったとき。
違反者が交通反則通告書の受領を拒否したとき。