問1 衆議院議員が政治資金規正法違反容疑で逮捕許諾請求を請求されるという事案が発生したが,国会議員の不逮捕特権に関する記述として,誤りはどれか。
国会議員は,その職務の重要性から不逮捕特権が認められており,院外における現行犯の場合を除き,会期中その議院の許諾がなければ逮捕されない。
議員の不逮捕特権の中には,刑事訴追を受けないという特権も含まれている。
議員の院外における現行犯罪の場合には,たとえ会期中であっても,その属する議院の許諾なしに逮捕することができる。
会期前に逮捕された議員について,その属する議院の要求があれば,会期中これを釈放しなければならない。
戦後,国会議員の逮捕許諾が求められたケースは,過去に19件あり,今回(坂井議員)で20件目となり,うち15人(延べ14人)が許諾後に逮捕されている。
問2 次は,保護に関する記述であるが,誤りはどれか。
保護ができる対象は,異常な挙動その他周囲の状況から合理的に判断して,応急の救護を要すると認める,精神錯乱又はでい酔のため自己又は他人の生命,身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者と迷子,病人,負傷者等で適当な保護者を伴わず,応急の救護を要する者である。
迷子,病人,負傷者等で適当な保護者を伴わず,応急の救護を要する者については,明文で「本人がこれを拒んだ場合を除く」としているのであり,本人が拒否した場合には絶対に保護できない。
保護の後の措置としては,できるだけ速やかにその者の家族,知人その他の関係者に保護した旨を通知し,その者の引取り方について必要な手配をしなければならない。また,そのような者が見つからないときは,速やかに適当な公衆保健機関,公衆福祉機関等にその事件を引き継がなければならない。
警察官職務執行法第3条1項による精神錯乱者又はでい酔者の保護は,24時間を超えてはならない。もちろん,24時間以前においても酔いがさめるなどして保護すべき必要性が失われたときには,速やかに保護を解かなければならない。ただし,適当な引渡先がない等保護を継続する必要性がある場合においては,簡易裁判所の裁判官の許可状を得て,24時間を超えて保護することができるが,その延長に係る期間は通じて5日を超えてはならない。
本条によって保護した者については,その氏名,住所,保護の理由,保護・引渡しの日時及び引渡先を毎週,簡易裁判所に通知しなければならない。
問3 次は,「職務倫理の基本」に関する記述であるが,正しいのはどれか。
警察職員にはその職業倫理の実践について,他の公務員以上に厳しいものが要求されている。それだけに警察職員は,自ら業務に精通することはもちろんであるが,それに加えて警察職員としてのあるべき姿を探究し,いわば守るべき職業倫理として確立し,実践していく必要がある。
「職務倫理の基本」とは,公務員全般に共通する内容を盛り込んだものであり,格別特別なものではない。
使命感を持ち市民に奉仕し,懇切丁寧な職務を執行する。
相互の連携を深め,実務能力の向上に配意する。
清廉にして堅実な生活態度を保持し,適切な市民応接に配意し市民の立場で職務を執行する。
問4 次は,弁護人との接見交通に関する記述であるが,誤りはどれか。
「急迫不正の侵害」とは,法益侵害の弁護人を選任することができるのは,被疑者及び被告人のほか,被疑者又は被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹であり,これらの者は独立して弁護人を選任することができるが,伯父などは弁護人を選任することはできない。危険が目前に押し迫っていることを指す。したがって,過去の侵害に対する正当防衛は成立し得ない。
氏名等を黙秘している被疑者から「○○弁護士会○○弁護士をお願いします。」という申し出があった場合でも,その弁護人に通知しなければならない。
被疑者から「○○法律事務所の弁護士なら誰でもいいから連絡してくれ。」という申し立があった場合は,被疑者が○○弁護士と指定していないので,○○法律事務所には通知しなくてもよい。
被疑者及び被告人は,弁護人を独立して選任することができる者が選任した弁護人を解任しても違法ではない。
警察署に留置されている外国人被疑者に対し,その国の領事官から接見の依頼があったが,当該被疑者には刑事訴訟法第81条により接見禁止となっており,その内容が「領事官は除く。」と記載されていなかったので,直ちに接見させなかった。
問5 次は,道路交通法に規定されている警察官の権限についての記述であるが,正しいのはどれか。
警察官は,手信号その他の信号により交通整理を行うことができるが,公安委員会の設置した信号機の表示する信号と異なる意味を表示する手信号を行うことはできない。
警察官は,道路における交通の円滑を図るためやむを得ないと認めるときは,必要な限度において車両の通行の禁止等を命ずることができるが,これは高速自動車国道において行うことができない。
警察官は,過積載車両が運転されているときには,停止させ,自動車検査証等の提示を求め,重量を測定することができるが,これは即時強制権を定めたものである。
警察官は,車両等の乗車,積載又はけん引について,危険を防止するため特に必要があると認めるときは,停止させ,必要な応急の措置をとることを命ずることができるが,これに従わないときは,警察官が実力を行使して必要な措置をとることができる。
車両に乗車しようとしている者が,酒気を帯びて車両等を運転するおそれがあると認められるときは,呼気検査をすることができるが,道路交通法上,呼気検査は,その者の呼気を風船に吹き込ませることにより,採取する検査方法のみが認められている。