問1 次は,公務員の憲法上の地位に関する記述であるが,誤りはどれか。
公務員は,「全体の奉仕者」としての特殊な立場にあることから,労働基本権が全て否定されている。
憲法上,国民が公務員の選定罷免権を行使できるのは,国会議員並びに地方公共団体の議会の議員,地方公共団体の長及び法律の定めるその他の吏員の選定と,裁判所裁判官の罷免についてのみである。
「憲法上,公務員は「全体の奉仕者」としての地位にあり,その活動が公共の利益に著しい影響を及ぼすこととなるところから,公共の利益を確保するため必要とされる限度で一定の制約を受ける。
公務員は,国民であり勤労者でもあり,それぞれの地位における人権を原則的に享受する。
国営企業職員及び地方公営企業職員には,団体協約締結権が認められていない。
問2 次は,犯人蔵匿(隠避)罪に関する記述であるが,誤りはどれか。
本罪は「罰金刑以上の刑に当たる罪を犯した者」を蔵匿(隠避)した場合にも成立するが,その場合の認識の程度としては,「犯罪を犯した者」である旨の認識で足り,その者の犯した罪が罰金刑以上の刑に当たる罪であることの認識までは要しない。
指名手配被疑者の母親が,うまく逃げてもらいたいとの親心から,被疑者に逃走資金を援助した場合には,本罪の刑責を負うものの,刑が任意的に免除される。
犯人自身の隠避行為は犯罪を構成しないので,犯人が他人に対して自己を隠避するよう教唆した場合にも,犯人隠避罪の教唆犯は成立しない。
本罪の実行行為のうち「蔵匿」とは,場所を提供してかくまうことを指し,「隠避」とは,蔵匿以外の方法で捜査機関による発見逮捕を免らしめるすべての行為を指す。
本罪の客体は真犯人に限られず,犯罪の嫌疑があり捜査機関が被疑者として捜査中の者は広く本罪の客体に含まれる
問3 次は,証拠法に関する記述であるが,誤りはどれか。
裁判官は,自白のみをもって有罪の認定をすることができず,必ず補強証拠と相まって有罪の認定をしなければならないが,補強証拠は,それ自体,証拠能力を有するものでなければならない。
違法収集証拠は,証拠の収集過程に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり,これを証拠として許容することが,将来における違法捜査抑制の見地から相当でないと認められる場合は,証拠能力が否定される。
不起訴にしてやるとの約束の下になされた被疑者の自白は,任意にされたものでない疑いのある自白であるとされ,証拠能力が否定される。
弁解録取書,逮捕手続書,捜索差押調書は,いずれも伝聞証拠であり,原則として証拠能力は認められない。
司法警察職員が作成した供述調書は,原則として証拠能力が認められないが,検察官が作成した供述調書は,無条件で証拠能力が認められる。
問4 次は,覚せい剤に関する記述であるが,誤りはどれか。
覚せい剤は,白色の粉末又は無色透明の結晶である塩酸メタンフェタミンと塩酸アンフェタミンがあり,それぞれ水,アルコールに溶ける。
覚せい剤の薬理作用としては,眠気,疲労感等が消失して頭が冴えたような感覚になり,さらに,気分の高まりを覚え,陽気になるという効果をもたらすといわれ,単純な作業の能率は高まる。しかし,慎重な判断,集中力を必要とする仕事の能率は低下する。
薬理作用は,数時間程度で切れ,以後,脱力・疲労・けん怠感に襲われるため,薬切れの不快感から逃れようとしたり,最初の良い気分を求めようとするために連続使用が始まり,3ヵ月前後で,過度の睡眠不足と食欲減退に襲われ,さらには,幻覚や妄想等の中毒症状が現れる。
覚せい剤には耐性があるといわれるが,耐性が生じるとは,使用を繰り返すうちに前に用いた量では薬効を感じなくなることをいい,このような状態になると,初期の10から30倍の量を使用するようになる。
覚せい剤は,一般的には水溶液を注射する方法で使用されるが,錠剤化したものを飲む,粉末をジュースやワインに入れて飲んだり,粉末をストローで鼻から吸引するとか煙を吸うとかいった特殊なものもある。注射による使用は,最も即効性がある
問5 次は,地域警察幹部の指揮監督,指導教養についての記述であるが,妥当でないものはどれか
警察署の地域課長等は,計画的に交番,駐在所を巡視することなどによって地域警察官の指揮監督及び指導教養を行わなければならない。
巡視は,部下の勤務実態及び勤務環境を直接幹部の目で見て行う集合教養の場であることから,勤務員の経験,能力,性格を把握した上で,個別的,具体的に指導することが必要である。
指揮監督及び指導教養は機を失せずに行うとともに,必要により記録して地域警察官に示し,事後その実施状況を確認しなければならない。
地域警察幹部は,事件事故の現場では,自らが率先して事件事故の処理を行い,これら具体的な事案を通じて指導教養を行うことにより実務上の処理要領を部下に体得させなければならない。
地域警察官の実績低調の原因を早期に把握し,これを取り除いてやることも地域警察幹部の役目である。