問1 次は,外国人に対する基本的人権の保障についての記述であるが,誤っているものはどれか。
外国人の参政権について,判例は,法律で地方公共団体の長,議会の議員等の選挙権を付与する措置を講ずることは憲法に違反するとしている。
基本的人権の保障は,権利の性質上,日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解されている。
憲法第16条は,何人も請願する権利を有する旨を定めているが,ここにいう「何人」には,日本国民はもとより外国人も含まれる。
憲法第14条1項は,可能な限り外国人にも類推適用されるべきであると解されているが,判例は,株式会社が定款に取締役になり得るのは日本国籍を有する者に限るということを定めても,不合理な差別に当たらないとしている。
外国人の入国の自由を直接保障する規定は憲法にはないので,外国人の入国の際については国の自由裁量で決定され,国家間の条約がない以上,国に外国人を入国させる義務を課すものではない。
問2 次は,報道・取材の自由についての記述であるが,妥当でないものはどれか。
行政の組織及び活動は,法律の規律の対象となる。
犯罪の捜査は,裁判所の行う「司法」である。
行政法には,行政機関の組織について定めるものと,行政機関の活動について定めるものがある。
行政機関の設置,所掌事務等について規律するものを「行政組織法」という。
行政機関が一般国民に対して行う活動の根拠,要件等について規律するものを「行政活動法」又は「権限法」という。
問3 次は,犯罪の分類に関する記述であるが,誤りはどれか。
「真正不作為犯」とは,不作為の形式で構成要件が記述された犯罪を不作為によって実現する犯罪類型を指し,例えば不退去罪や多衆不解散罪がこれに当たる。
「目的犯」とは,犯罪成立の主観的要件として故意の他に一定の目的の存在を必要とする犯罪類型を指し,例えば文書偽造罪や背任罪がこれに当たる。
「状態犯」とは,犯罪が既遂に達した後,法益侵害の状態は継続するが,犯罪自体は終了する犯罪類型を指し,例えば強盗罪や詐欺罪がこれに当たる。
「継続犯」とは,犯罪が既遂に達した後も法益侵害の状態が継続する間は犯罪も続く犯罪類型を指し,例えば監禁罪や窃盗罪がこれに当たる。
「必要的共犯」とは,犯罪が成立するために必ず2人以上の共同行為が必要となる犯罪類型を指し,凶器準備集合罪や賄賂罪がこれに当たる。
問4 次は,準現行犯人に関する記述であるが,誤りはどれか。
私人も準現行犯人を逮捕することができるが,逮捕の現場における捜索・差押えをすることはできず,また,犯人を受け取った司法警察職員も,逮捕の現場における捜索・差押えをすることはできない。
警察官が犯人と思われる者を懐中電灯で照らし,警笛を鳴らしたところ,警察官であることを察知して逃走しようとした場合には,声を掛けたわけではなくとも「誰何されて逃走しようとしたとき」に当たる。また,私人が誰何したところ,逃走しようとした場合にも「誰何されて逃走しようとするとき」に当たる。
「贓物……を所持しているとき」に当たるというためには,犯人が盗品を現実に所持又は携帯していることが必要であるが,逮捕者が犯人を認めた時点で盗品を所持していれば足り,必ずしも逮捕の瞬間に盗品を所持していることを要しない。
職務質問の開始時点では犯罪の発生を認知しておらず,職務質問の結果,相手方が警察官に対して犯行を自認したことにより初めて犯罪の発生を認知したとしても,犯行との時間的・場所的な接着性が認められる限りはなお「罪を行い終わって間がないと明らかに認められる」の要件を満たし得る。
「犯人として追呼されているとき」に当たるというためには,その者が犯人であることを明確に認識している者により,犯行終了後から継続して追呼されていることを要する。
問5 次は,交通反則通告制度における告知を行わない特例に関する記述であるが,誤りはどれか。
違反者の居所又は氏名が明らかでないとき。
違反者が違反事実を否認するとき
違反者が逃走するおそれがあるとき。
違反者の居所が不明のため告知することができなかったとき。
違反者が交通反則通告書の受領を拒否したとき。