問1 次は,人身の自由に関する記述であるが,妥当でないのはどれか。
下級裁判所で有罪とされた事件につき,検察官が判決を不服としてより重い刑の判決を求めて上訴することは,憲法第39条に違反しない。
身体の拘束を受けた被疑者が,起訴されるに至らずして釈放された場合に,判例は,憲法第40条による刑事補償を求めることはできないとしている。
第三者の所有物の没収は,被告人に対する付加刑として言い渡されるものであるが,この場合,当該所有者に対して告知,弁解,防御の機会を与えないでこれを行うことは,憲法第31条が要求している適正な法定手続によるものとはいえない。
裁判所の裁判において,共同被告人相互の判決が違っていても,直ちに憲法第37条1項の違反とはならない。
何人も,自己に不利益な供述を強要されないが,自己の氏名は自己に不利益な供述に当たるとされている。
問2 次は,地方公共団体の意義に関する記述であるが,誤りはどれか
憲法は,地方自治に関して特に1章を設けており,地方公共団体の組織及び運営は,「地方自治の本旨」に基づいて,法律で定めることを規定している。
同一の被疑事実に関して捜索・差押え・検証を同時に行う場合には,捜索差押許可状と検証許可状を別個に請求しなければならない。
女子の身体を捜索するに際しては,成年の女子を立ち会わせなければならないが,急速を要する場合は,成年女子の立会がないまま捜索をすることができる。
軽犯罪法違反などの軽微な犯罪の捜査のための捜索・差押えは,逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれの有無にかかわらず行うことができる。
人の住居で捜索・差押えを行うに際しては,直ちに着手しなければ証拠隠滅されるおそれがあるなど,急速を要する場合であっても,立会人なしに捜索・差押えを行うことはできない。
問3 次は,令状による捜索・差押えに関する記述であるが,誤りはどれか。
捜索差押許可状を執行して捜索を開始したが,深夜になったためいったん捜索を中断し,翌朝から再開しようとするときは,改めて令状呈示しなければならない。
迷子,病人,負傷者等で適当な保護者を伴わず,応急の救護を要する者については,明文で「本人がこれを拒んだ場合を除く」としているのであり,本人が拒否した場合には絶対に保護できない。
保護の後の措置としては,できるだけ速やかにその者の家族,知人その他の関係者に保護した旨を通知し,その者の引取り方について必要な手配をしなければならない。また,そのような者が見つからないときは,速やかに適当な公衆保健機関,公衆福祉機関等にその事件を引き継がなければならない。
1項による精神錯乱者又はでい酔者の保護は,24時間を超えてはならない。もちろん,24時間以前においても酔いがさめるなどして保護すべき必要性が失われたときには,速やかに保護を解かなければならない。ただし,適当な引渡先がない等保護を継続する必要性がある場合においては,簡易裁判所の裁判官の許可状を得て,24時間を超えて保護することができるが,その延長に係る期間は通じて5日を超えてはならない。
本条によって保護した者については,その氏名,住所,保護理由,保護・引渡しの日時及び引渡先を毎週,簡易裁判所に通知しなければならない。
問4 次は,国家賠償法に関する記述であるが,誤りはどれか。
国家賠償法第1条に規定する「公権力の行使」とは,権力的行為に限らず,一般私人と異なる立場で行う公務の全体を意味し,警察の行う任意活動等も含まれる。
警察官が休暇中に制服を着用し,外形上職務の執行として違法に他人に損害を加えた場合であれば,都道府県は賠償責任を負わない。
損害賠償が認められるためには,その行為を行った公務員に故意又は過失があることを要する。
賠償責任の主体である国又は公共団体は,当該不法行為をした公務員に代位して賠償責任を負うものである。違法行為を行った公務員に故意又は重大な過失があったときは,国又は公共団体は,当該公務員に対して求償権を行使できる。
外国人が被害者であるときは,相互の保証がある場合,つまりその外国人の本国で日本国民の被害に対する賠償責任が認められるときに限り,国家賠償法が適用される。
問5 次は,告訴に関する記述であるが,妥当なものはどれか。
告訴状に被告訴人として3名の氏名が記載されていたが,捜査した結果,そのうち1名は犯罪に関係なかったので,2名についてのみ検察官へ送付した。
告訴要件がすべて備わっていても,告訴人の意思が犯人の処罰を求める意思だけでなく,関連する民事訴訟法を有利に導く目的があると思料されるときは当該告訴を受理してはならない。
告訴状を調べたところ,当該事件は,以前他の警察署に告訴し被害者が取消したものであることが判明したが,犯罪が親告罪であったので受理した。
被害の届出は管轄区域外でも受理することができるが,告訴の要件として,犯人の処罰を求める意思表示がなければならないので,被告訴人の住居,営業所,事務所又は犯罪発生地が自署管内でなければ受理してはならない。
告訴事件の被疑者を逮捕し,逮捕から48時間以内に当該事件に関する書類及び証拠物とともに,身柄を検察官へ送るときは「送付書」ではなく,「送致書」を用いるのが正しい。