問1 次の時事用語とその説明のうち,誤りはどれか。
産業再生機構=金融機関から不良債権を買い取って,経営の立て直しが見込める企業の再生を支援する新組織。
セーフガード=輸入品の急増による国内業界への打撃を緩和するため,一時的な関税の引下げなどで輸入を押さえる緊急措置,WTO(世界貿易機関)のルールに対抗する制度。
法定外目的税=特定の使い道に限り,地方自治体が条例を定めて設けることのできる税金。平成12年4月の地方税法改正で導入された
IP電話=家庭や企業が引いたブロードバンド(高速大容量通信)回線を利用し,音声信号を細切れのデータにしてインターネット網でやりとりし,通話する仕組み。
減損会計=土地などの固定資産が生み出す収益が低下し,投資の回収が見込めなくなった場合に帳簿価格を切り下げる仕組み。
問2 次は,憲法第35条の住居の不可侵についての記述であるが,誤りはどれか。
「書類及び所持品」とは,人の占有に属する一切の物をいうので,人が現に身体に付けて所持しているものに限らない。
「捜索」とは,物又は人を探すために住宅内部又は所持品等を点検することをいうが,これには刑訴法上の検証も含まれる。
「住居」とは,人が居住して日常生活を営んでいる場所をいうが,これは通常の住宅だけでなく,人が一時的に宿泊している旅館の一室も含まれる。
警察官は,各種の行政法規上の規定に基づき,職権行使として人の住居等に立ち入って,所要の権限を行使することができ,その権限はすべて即時強制である。
捜索差押令状の捜索・押収の場所の記載に誤記があった場合でも,この令状に基づく押収物については,裁判所の証拠調べを経て証拠能力がすべて否定される訳ではない。
問3 次は,保護に関する記述であるが,誤っているのはどれか。
警察官は,警察官職務執行法第3条1項に基づいて,精神錯乱者,でい酔者,迷い子等であって応急の救護を要する者について,必ず警察署等において保護する。
保護は,警察法第2条で定める個人の生命,身体,財産の保護という警察の職務を達成するために,警察官に強制を含む手段をとることを認めた規定である。
保護の対象としての要件を満たしているか否かの警察官の判断は,警察官職務執行法第2条の質問の場合と同じく,主観的,恣意的であってはならず,異常な挙動(不自然な動作,態度)や周囲の状況を基に,客観的かつ合理的に行われなければならない。
「でい酔者」とは,アルコールの影響により,正常な判断能力・意思能力を欠いた状態にある者を意味するが,いずれも,自己又は他人の生命,身体又は財産に危害を加えるおそれがある者を対象としている。
家出人については,自らの意思で独立しようとする限り2号の迷い子には当たらず,全くの年少者で自救能力のない者を除き(この場合には,同号の「負傷者等」の「等」に含まれる。),この要件を満たさないから強制的な保護を行うことはできない
問4 次は,詐欺罪に関する記述であるが,誤りはどれか。
欺罔行為は,作為によるものであっても,不作為によるものであってもよいが,不作為による欺罔が認められるためには,その者に,法律上の作為義務が存在することが前提となる。
相手方の処分行為がない限り,本罪は成立しないから,例えば,店員の注意をそらして,その隙に商品を持ち去る行為は,処分行為を欠き,本罪を構成しない。
洋服店で,10,000円の値札が付いている服の値札を取り外し,別の服に付いていた5,000円の値札を取り付けた上でレジへ持ち込み,レジ係員に五千円札を差し出して購入した場合には,本罪が成立する。
レストランで食事を注文し,食べ終わった後で支払いをしようとしたところ,財布を忘れたことに気づいたため,裏口から黙って逃げた場合には,本罪が成立する。
詐欺罪は個別財産に対する罪であるから,たとえ相当対価の支払いがあったため相手方の全体財産が減少しなかったとしても,欺罔行為により財物を騙取すれば,詐欺罪の成立を妨げない。
問5 深刻化する少年犯罪への対応のうち,誤っているのはどれか。
生活安全,刑事,交通の各部門が一体となり,事件検挙の強化,背後の暴力団の取締りはもとより,関係機関,ボランティアとの連携を強化して,少年の非行集団への加入阻止,構成員の離脱支援,立直り支援を強力に推進することにより,非行集団の解体補導を図る。
少年の立直り対策の推進のため,専門的知識を有する職員による警察独自の少年サポートチームを編成する。
新たに制定された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に基づき,いわゆる出会い系サイトに係る少年の犯罪被害の防止,少年の規範意識の向上等を図る。
関係省庁による共同研究チームを設置し,警察,学校,児童相談所等と情報を共有することにより,諸対策や地域社会への情報還元に資する仕組み作りを検討する。
関係機関との連携により,捜査書類の簡素化等増加する少年事件捜査に効率的に対応するための方策について検討を進める。