問1 次は,内閣総理大臣に関する記述であるが,誤りはどれか。
内閣総理大臣は,衆議院議員の中から選出しなければ違法である。
内閣総理大臣の指名について衆参両院の意見に対立があるときは,衆議院の議決が優先する。
内閣総理大臣は,内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
内閣総理大臣が欠けたとき,内閣は必ず総辞職しなければならない。
内閣総理大臣は,国務大臣を任意に罷免することができるが,これは,自己の自由な裁量による。
問2 次は,実行の着手時期に関する記述であるが,誤りはどれか。
窃盗目的で他人の住居に侵入したときは,侵入時点で窃盗罪の実行の着手が認められる。
他の場所へ連れ去った上で強姦する目的で路上を歩行中の女子高校生の腕をつかみ,強引に自動車内へ引きずり込んだときは,その時点で強姦罪の実行の着手が認められる。
甲は,Aを殺害する目的でA宅に毒入りワインを郵送したところ,郵便配達員が取扱いを誤り,ワインの瓶が割れてしまったためA宅には配達されなかった。この場合,殺人罪の実行の着手時期はワインの瓶がA宅に配達された時点であるから,甲は殺人予備罪の刑責を負うにとどまる。
スリ目的で,電車内で乗客の上衣ポケットを外から触っただけでは窃盗罪の実行の着手は認められず,ポケット内に手を差し入れた時点で実行の着手が認められる。
放火目的で,密閉された木造家屋の床に大量のガソリンを散布してガソリンの蒸気が室内に充満したときは,未だ点火行為がなくとも,放火罪の実行の着手が認められる。
問3 次は,還付・仮還付に関する記述であるが,誤りはどれか。
恐喝罪の被害品を還付しようとする場合において,被害者が財物交付の意思表示を取り消していないときは,被害品を被害者に還付することはできない。
いったん仮還付した領置物件を,捜査上必要が生じたため再度提出させる場合には,その状況を書類で明らかにしておけば足り,改めて領置の手続をすることを要しない。
いったん仮還付した領置物件を還付しようとするときは,仮還付を受けた者に対して還付する旨を書面で通知すれば足り,改めて還付請書を作成することを要しない。
仮還付は,所有者等から請求があった場合のほか,捜査機関が職権でこれを行うこともできる。
還付は,原則として当該物件の被押収者を相手方として行わなければならないが,それが盗品である場合には,被害者に還付すべき理由が明らかであれば,被害者に還付しなければならない。
問4 次は,特異な場合の押収措置に関する記述であるが,妥当でないのはどれか。
路上殺人事件等の現場に存在する被疑者(犯罪死体)の所持品等を押収する場合で,相続人や所有者たる第三者等の受還付者を決めかねるときは,領置調書の「所有者の住居,氏名」欄の氏名に被害者と冠を付して記載する。
遺留物たる拾得物で拾得者が遺失物法上の権利を棄権しないで,行政機関の長たる署長から司法警察員たる署長へ任意提出し捜査主任官が領置した場合の任意提出書の「提出者処分意見」欄には,「この物件は遺失物法第11条により取り扱っているので,用済みの上は被害者に還付してください。」と記載する。
遺留物たる拾得物で拾得者が遺失物法上の権利を棄権し,行政機関たる署長から司法警察員たる署長へ任意提出した場合の任意提出書の「提出者処分意見」欄には,「被害者に返してください。」などと記載すれば足りる。
覚せい剤や麻薬等所持禁止物件で拾得者が遺失物上の権利を棄権しないで,行政機関の長たる署長から司法警察員たる署長へ任意提出した場合の任意提出書の「提出処分意見」欄には,「遺失物法上の手続は終了しており,所有権は発生しないため,返さないでください。」などと記載する。
拾得物が盗品で被害者への返還が可能である場合には,遺失物法上の手続として被害者に返還し,被害者からその物の任意提出を受け,捜査主任官が領置する。
問5 次は,道路交通法に規定されている警察官の権限についての記述であるが,正しいのはどれか。
警察官は,手信号その他の信号により交通整理を行うことができるが,公安委員会の設置した信号機の表示する信号と異なる意味を表示する手信号を行うことはできない。
警察官は,道路における交通の円滑を図るためやむを得ないと認めるときは,必要な限度において車両の通行の禁止等を命ずることができるが,これは高速自動車国道において行うことができない。
警察官は,過積載車両が運転されているときには,停止させ,自動車検査証等の提示を求め,重量を測定することができるが,これは即時強制権を定めたものである。
警察官は,車両等の乗車,積載又はけん引について,危険を防止するため特に必要があると認めるときは,停止させ,必要な応急の措置をとることを命ずることができるが,これに従わないときは,警察官が実力を行使して必要な措置をとることができる。
車両に乗車しようとしている者が,酒気を帯びて車両等を運転するおそれがあると認められるときは,呼気検査をすることができるが,道路交通法上,呼気検査は,その者の呼気を風船に吹き込ませることにより,採取する検査方法のみが認められている。