問1 次は,国民の知る権利と表現の自由についての記述であるが,誤りはどれか。
表現の自由を保障することは,公権力によるこれらの自由の侵害を禁止することであるが,この自由の保障も無制限のものではなく,公共の福祉という原則によって制限されることがある。
知る権利は,取材の自由から発展したものであり,情報の公開を請求することまで含まれていない。
憲法第21条の保障する表現の自由には報道の自由も含まれ,報道の自由のためには取材の自由も認められる必要があるが,最高裁判決では,新聞記者に取材の自由を根拠に取材源に関して証言拒絶の権利はないとしている。
事実を報道する自由は,表現の自由として認められ,そのための取材活動の自由も尊重されるべきであるが,取材の自由に対しては表現の自由以上に制約が加えられることが多い。
表現の自由には,単に表現者の意見や主張に限らず,思っていることや感じていることもすべて含まれ,厳密な意味での思想に限られない。
問2 次は,行政法に関する記述であるが,誤っているのはどれか。
日本国においては,法治主義の原則をとり行政機関の活動も一般国民も法律の下にあり,法律に服することになっている。
日本国憲法は,国会を国権の最高機関であって,唯一の立法機関であるとしているため,行政機関は,国民の権利・由由を制限するような実質的な意味での法律を制定することはできない。
行政機関が国民の権利・自由の制限にわたるなどの命令(法規命令)を定めることができるのは,法律の具体的な委任を受けた場合に限られ,その委任の範囲を超えることは許されない。
行政内部の機関に対する命令(行政規則)を定めることについても,法律の委任がある場合に限られている。
地方公共団体の定める条例は,住民の代表者である議会によって議決されるものであり,地方の自主立法としての性質を有するから,法令に反しない限り,国民の権利・自由を制限し,義務を課す規定を設けることができることになる。
問3 次は,賄賂罪に関する記述であるが,誤りはどれか。
賄賂罪にいう「職務」は,職員の抽象的職務権限に属する職務であれば足り,必ずしも当該職員の具体的職務権限に属する職務でなくともよい。
賄賂とは,人の需要若しくは欲望を満足させるもの一切をいい,有形物,無形物を問わず,さらに非財産的利益であっても賄賂たり得る。
収賄罪が成立するためには,公務員が職務に関して賄賂を収受したという外形的な事実があれば足り,職務に関する不正の報酬として供与されるものであることを知りながら収受したか否かは,本罪の成否の問題ではなく情状面の問題にとどまる。
公務員に賄賂を供与しようとしたが受け取りを拒絶された場合であっても,贈賄罪には賄賂の供与罪のほか贈賄申込み罪も定められていることから,贈賄罪の刑責を負う。
本罪の対象となる職務行為は,作為・不作為を問わないので,あえて職務行為をしないことに対する不正な対価も賄賂となりうる。
問4 次は,令状による捜索・差押えに関する記述であるが,誤りはどれか。
被疑者の居宅が留守のため,隣人を立ち会わせて捜索を開始した場合には,捜索途中で隣人が退去し,立会人を欠く状態となったとしても,捜索を続行することができる。
捜索差押許可状を被処分者に呈示したところ,被処分者がこれを取り上げて破り捨ててしまった場合でも,捜索・差押えに着手して差し支えない。
令状に基づき差し押さえた通信文書在中の封書を開封する場合には,別途検証許可状の発付を得て行わなければならない。
公務所を「捜索すべき場所」とする捜索差押許可状は,夜間執行許可の記載がなくとも夜間に執行することができる。
捜索差押許可状の「捜索すべき場所」欄の地番に誤記があっても,令状記載事項全体の合理的解釈によりその場所が明確に特定される場合には,その令状は有効である。
問5 次は,道路交通法上,道路使用の許可対象となる行為についての記述であるが,誤りはどれか。
交通ひんぱんな道路において,寄付を募集し,若しくは署名を集める場合
広告又は宣伝のため,車両等に著しく人目を引くような特異な装飾その他の装いをして進行する場合
道路法による道路の管理者が道路の維持,修繕,その他管理のため工事又は作業をする場合
場所を移動しないで,道路に露店,屋台店,その他これに類する店を出す場合
道路にみこし,だし等を出し,又はこれらを移動する場合