noimage 法律関係 承認試験関係 交通関連 実務教養関連 練習問題集 お申し込み
noimage
自動車事故による業過犯の捜査

■安西 温・三ツ木 健益 共著
■平成5年4月発行 第3版(平成2年3月発行)
■税込定価 2,349 円(本体 2,136 円)
■A5判 / 464頁
戻る お申し込み

● 特徴
 第一線の警察官が、自動車事故による業務上過失事件の処理を適正に行うことができるよう、実務に直結する過失理論や捜査の要点を、判例や具体的事例をもとに詳細に解説。

● まえがき
 安西先生の「自動車事故による業務上過失犯捜査要綱」を改訂した本書が世に出てから既に9年が経過し、その間、道路交通法が数次にわたって改正されるとともに、道路交通における信頼の原則の適用などを含めて業務上(重)過失致死傷罪の成否についての裁判例も数多く蓄積されるようになり、また、この間に交通教育がある程度徹底し、道路等の交通環境も大幅に整備され、自動車による交通事故の態様も変化して来た。 一方、実務においては、大量に発生するこの種事件の能率的処理を図るため、自動車交通に伴う業務上過失傷害事件について事件送致書等司法警察職員の作成すべき捜査書類の様式について特例が認められ、事件送致書などに記載する被疑事実の過失内容の記載が簡略化、定型化されたことによって、第一線でこの種事件の処理に当たる捜査官としては、類型化された事故については捜査処理が容易になった反面、特異複雑な事故についてはその過失をどう認定するか迷うことも少なくないように思われる。 また、自動車による業務上過失致死傷事件について、捜査の結果人の死傷の結果が発生し運転者に過失が認められるようならば原則として起訴し一罰百戒この種事件の減少を図るといったかつての事件処理の在り方が反省され、過失内容、生じた結果の大小、被害者側の処罰意志の強弱等を検討し、真に処罰に値する者のみを起訴しようとする傾向の見受けられる現在においては、過失内容を適格に把握することが以前にも増して重要となってきた。 そこで、警察時報社からの要請もあって、安西先生のご意向も容れ、本書を大幅に書き改めることにしたが、今回の改訂に当たって特に留意した点は、
1 基本的には旧版の構成を維持しつつ、その後の道路交通法の改正を踏まえて内容を書き改めたこと
2 その後の判例をフォローし、重大なものは、そのほとんどについて、本文中で、又は裁判所の認定した事実を判例の事実記載として引用したこと
3 道路状況、交通規制等交通環境の変化に応じ、各項の末尾に掲げた実例の記載を、原則として、アップ・ツー・デイトなものと差し替え、又は書き改めたこと
4 交通教育の普及、道路施設等の整備に伴い、現在では日常的に発生しないが、時として発生し、そかも過失の構成・認定が困難な類型の事故、路面電車に関連する事故など事件処理の参考となると思われるが差し替えるべき事例の入手が困難なものについては、旧版の実例の記載をそのまま踏襲したこと

などであるが、そのため、交差点における事故、左折・右折時の事故については大幅に訂正加筆することとなり、内容が一新し、また、紙数の都合等もあり旧版においては項を分けてあった「対向」及び「すれ違い」を1つの項にまとめた。なお、旧版にならい、実例に続いてまた実例に引用できなかったものは各事故類型の末尾に、簡易送致欄に記載する際の参考として、過失内容の要約を掲げた。 出来上がったものには意に満たない点が多々あるが、これらの点については、各位の御批判を仰ぎながら、逐次、訂正補充していきたいと考えている。本書が自動車事故による業務上(重)過失事件の捜査処理に当たる人々の執務にとって資することがあれば、望外の幸せである。
     平成2年1月  三ツ木 健益

● 総目次

第一部 序論
 第一章 交通事故と道路交通法
    一 交通事故、特に自動車事故の推移
    二 道路交通法の制定
     
 第二章 交通事故と自動車事故
    一 陸上における交通機関
    二 交通事故
     
 第三章 自動車と原動機付自転車等の概念
    一 自動車
    二 原動機付自転車
    三 自動車及び原動機付自転車と運転免許
    四 軽車両とトロリーバス
    五 自動車の登録番号標
     
 第四章 自動車交通事故捜査に必要な若干の専門的知識
    一 自動車の車体各部分の名称
    二 自動車運転者席の各機械器具の名称・機能
    三 自動車運転方法の概略
    四 制動距離及び滑走痕(スリップ痕)
    五 キロメートル・マイル換算法
    
第二部 自動車事故の犯罪理論
 第一章 過失犯総論
    一 過失犯の構成と不可抗力
    二 過失行為
    三 過失行為と結果との因果関係
    四 過失行為者に対する非難可能性
    五 不可抗力
     
 第二章 過失犯各論
    一 業務上過失致死傷罪(刑二一一・前段)
    二 重過失致死傷罪(刑二一一・後段)
    三 過失致死傷罪(刑二一〇、二〇九)
    四 車両等の運転者による業務上又は重過失建造物損壊罪(道路交通法一一六)
     
 第三章 轢き逃げの犯罪論
    一 道路交通法違反の罪
    二 要保護者遺棄罪
    
第三部 自動車事故の類型と捜査の要点
 第一章 一般注意義務と過失類型
    
  第一節 前方注視
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例13題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第二節 安全な速度
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第三節 警音器の吹鳴
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第四節 進路関係の法規順守
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第五節 乗車・積載方法の適切
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第六節 車体検査・整備
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例7、判例3題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第七節 的確な運転技術
     
   第一 操車技術一般
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例3題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 危急時の操車技術
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例7題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
 第二章 特殊注意義務と過失類型
    
  第一節 運転者の運転技術あるいは心神状態が特別状況にあるとき
     
   第一 運転技術未熟
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 飲酒時
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1、判例3題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 過労、睡気、病気、薬物の影響時
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第四 無免許・酩酊運転等の教唆、幇助
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1、判例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第二節 自動車が特別状態にあるとき
     
   第一 整備不良車両の運転
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 積荷があるとき
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例4、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 けん引し、けん引されるとき
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第三節 危険な場所を運転するとき
     
   第一 交差点(十字路、丁字路、三差路その他)
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例3、判例7題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 踏切
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例6題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 曲がり角と屈曲のある場所
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1、判例3題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第四 路面電車停留所附近
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例3題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第五 横断歩道・自転車横断帯
    一 概説
    二 注意義務と過失類型
     
   第六 群衆雑踏の場所
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第七 狭隘路
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第八 坂
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第九 不良道路
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例5、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第四節 特殊現象下にあるとき
     
   第一 夜間・薄暮時
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 雨雪時
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例4、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 前方より光線の照射又は反射を受けているとき
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第五節 進路上又は進路附近に人物があるとき
     
   第一 横断者・佇立者
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例8、判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 幼児・児童
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例5、判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 身体障害者
    一 概説
    二 注意義務
     
   第四 酩酊者
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項
    
  第六節 特殊な行為に出るとき
     
   第一 発進
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例4、判例11題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第二 後退
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第三 停止
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例4題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第四 進路変更
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(判例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第五 左折・右折
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例11題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第六 転回、横断
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例3、判例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第七 追従
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第八 追越し
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例14、判例5題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第九 対向・すれ違い
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例2題)
    三 捜査上留意すべき事項
     
   第一〇 側方通過
    一 概説
    二 注意義務と過失類型(実例2、判例1題)
    三 捜査上留意すべき事項

戻る お申し込み